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最高裁判所第三小法廷 昭和41年(あ)760号 決定 1966年12月27日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人磯崎進の弁護人大橋茂美の上告趣意は、量刑不当の主張であり、被告人張雅祚の弁護人榊原匠司の上告趣意は、第一点から第三点までの各論点につき、それぞれ憲法三一条違反を主張するが、いずれも実質においては単なる訴訟法違反の主張に帰し、以上すべて刑訴法四〇五条の上告理由に当らない。(被告人張雅祚に対する本件被告事件は、いわゆる必要的弁護事件には当らないが、第一審では、審理の当初から国選弁護人が付されていたのであるから、同裁判所が、一旦弁論を終結したうえ判決宣告期日として指定告知した公判期日において、右弁護人が出頭していないにもかかわらず、そのまま弁論を再開し、原判示書証の取調を行なったのち、即日弁論を終結して判決を宣告したのは、違法の措置たるを免れず、この点の訴訟手続に違法がないとした原判決の判断は、訴訟法の解釈を誤っているものといわなければならない。しかし、原判決の維持した第一審判決判示の事実は、その挙示する証拠のうち、前記書証を除外したその余の証拠によっても十分認定することができるので、結局、原判決の右法令違反は判決に影響を及ぼすにはいたらない。)

また、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。 よって、同四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 田中二郎 裁判官 五鬼上堅磐 裁判官 柏原語六 裁判官 下村三郎)

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